武内大臣が香椎に住んでおられた時、常にこの水を汲んで、飯酒を調へられ遂に三百余歳の長寿を保たれましたので、旧大宮司武内氏の家を「老の屋」、その山を「老の山」その水を「老の水」と呼んでおります。
「天平宝字四年六月、疇昔西征の時、醴泉を筁の中へ貯へかへり、古宮の北三町許りなる所に移すを、今、修補して、不老水と名く。痼疾を除き、頽齢を延ぶればなり。」 -香椎宮編年記-
とありまして、「不老水」なる名稱は、この時期、奈良時代の末頃からできたと解されます。
筁の中に入れて、貯へ帰った彼の地の醴泉を移すに際し、武内大臣の汲み用ゐられた「老の水」を選んで、これに移し一層靈妙ならしめたと理解してよいでありませう。